ロシアのウクライナ侵攻以降、地政学的な緊張が続く。
小麦
2022年は世界の穀物輸出量の約3割を占めるロシア産とウクライナ産の小麦の輸出が停滞。
米農務省が12月に公表した22~23年度の世界の穀物需給見通しでは消費予想が27億6994万トンなのに対し、生産は27億3478万トンと消費を下回る。
一方でロシアの小麦供給が想定を上回ったことで12月の小麦価格は22年のピーク時から5割下落。
天然ガス
ロシアにとって天然ガスは西側諸国の経済制裁に対抗するうえでの最大の武器である。
ロシアは天然ガスの生産量では米国に次ぐ世界第2位だ。
ウクライナ侵攻前年の21年では欧州諸国にとってロシアは域内需要の3割以上を依存する最大の供給源であり、ウクライナ侵攻後、ロシアは最大の輸出先である欧州への天然ガス輸出を大幅に削減した。
主要パイプラインであるノルドストリームによる供給停止も加わり、欧州へのパイプラインガスの供給量は前年同期比約9割減に落ち込んだ。
とくにドイツは天然ガスのロシア依存度が46%(21年)と高かった
アジア諸国
LNGの主要な輸入国であるアジア諸国はLNG価格が高騰したことにより、パキスタン、バングラデシュなどの南アジア諸国はLNGを購入できなくなった。
その結果、パキスタンでは22年5月以降、計画停電が拡大。
バングラデシュではガス火力発電所の4分の1に相当する21基が停止された。