スーパーゼネコンの一角を担う清水建設。都市開発や大規模インフラプロジェクトなど、私たちの生活の基盤を支える代表的な企業です。
今回は、2018年から2022年までの5年間の財務データをもとに、同社の業績推移と収益性の変化を紐解いていきます。建設業界全体が直面している課題が、数字にどのように表れているのかを確認してみましょう。
1. 業績ハイライト:5年間の推移
まずは、ご提示いただいたデータを一覧で確認します。2018年から2020年にかけては好調に推移していましたが、直近にかけて数字の性質が大きく変化していることがわかります。
| 年度 | 売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 純利益 (百万円) | 営業利益率 (%) | 自己資本比率 (%) |
| 2018 | 1,519,435 | 121,373 | 84,978 | 7.99 | – |
| 2019 | 1,664,960 | 129,724 | 99,668 | 7.79 | – |
| 2020 | 1,698,292 | 133,894 | 98,977 | 7.88 | 38.3 |
| 2021 | 1,456,473 | 100,151 | 77,176 | 6.88 | 42.7 |
| 2022 | 1,482,961 | 45,145 | 47,761 | 3.04 | 38.7 |
2. 業績トレンドの視覚化
数字の羅列ではピンとこない部分もあるため、売上と利益の推移を直感的に把握できるインタラクティブなダッシュボードを用意しました。指標を切り替えて、トレンドの変化を確認してみてください。
3. データから見えてくる3つのポイント
① 2020年までの「安定成長期」
2018年から2020年にかけては、売上高が1.5兆円から1.69兆円へと順調に拡大しています。この期間は、営業利益率も7%台後半という非常に高い水準をキープしており、大規模再開発やインフラ整備の需要をしっかりと利益に結びつけていたことが伺えます。
② 2021年の「売上減少と利益率の粘り」
2021年は売上高が前年比で約2,400億円ほど落ち込み(1.45兆円)、営業利益も1,000億円台へと低下しました。しかし、営業利益率は6.88%と、売上の減少幅に対して利益率の低下はある程度食い止められています。また、自己資本比率はこの年が最も高く(42.7%)、財務の健全性を高めて守りを固めた年とも言えそうです。
③ 2022年の「収益性悪化のショック」
最も注目すべきは2022年のデータです。売上高は1.48兆円と前年から微増したにもかかわらず、営業利益は45,145百万円(前年比半分以下)へと急減しています。これに伴い、営業利益率も一気に3.04%まで低下しました。
この急激な利益率の悪化は、資材価格の高騰や労務費の上昇など、建設業界全体を直撃したコスト増の波を吸収しきれなかったことが主な要因と推測されます。
4. 今後の注目ポイント
清水建設のデータは、スーパーゼネコンであっても外部環境の急激な変化(特にコストプッシュ型のインフレ)には大きな影響を受けることを如実に示しています。
今後、同社の決算資料や月足チャートを確認する際は、以下の点に注目すると良いでしょう。
- 価格転嫁の進捗: 高騰した建築コストを、新規の受注価格にどれだけ転嫁できているか(利益率の回復)。
- 大型案件の採算性: 過去に受注した低採算の工事がいつ頃一巡するか。
- 非建設事業の成長: 不動産開発や再生可能エネルギーなど、本業以外の収益源が育っているか。
数字の背景にある「現場の苦労」と「次の一手」を想像しながら決算を読むと、企業分析はさらに面白くなりますね。
月足チャート







