株式投資

決算短信(TESLA)

電気自動車(EV)の開発・製造などを行うテスラ社は2003年に米国で創業しました。
宇宙開発事業を行うスペースX社を起業したイーロン・マスク氏が共同創業者として04年に参画し、08年に最初期モデルとなる「ロードスター」の販売を開始。
トヨタ自動車やフォードなど大手自動車メーカーと比べると圧倒的に後発でありながら現在はEV市場で世界をリードする会社にまで成長しました。

過去5年の業績を時系列分析すると売上収益は7700億円から3.5兆円と4.5倍に拡大。
年間の伸び率は46%と急成長を遂げています。特に20年は新型コロナウイルスの影響で世界的に自動車需要が減少し、業績堅調なトヨタでさえ8.9%の減収だったのに対し、同社の売上は28.3%も増加。
脱炭素社会に向けて各国がEVの普及を促進していることを追い風に急速に業績を伸ばしています。

売上の内訳を見てみると自動車事業のほか、ソーラー発電・蓄電事業も行っていますが売上の8割強は自動車事業が稼いでいます。
特徴的なのはそのうち1738億円が「クレジット(排出枠販売)収入」であるということ。
欧米や中国では各自動車メーカーに対しCO2などの温暖化ガスの排出枠を設けており、これを超過した場合は罰金を支払うか他のメーカーから余った排出枠を購入しなければなりません。
ガソリンを販売していないテスラは与えられた排出枠を丸ごと他社に販売することでこれまで大きな収益を得てきたのです。
クレジット収入はコストがかからないため「売上=利益」であり、当期の営業利益の実に79%を占めています。
同社にとってクレジット収入の恩恵がいかに大きいかが分かります。

一方でクレジット収入を除いた自動車売上総利益率は過去5年間で19~22%の水準を保っており、自動車販売のみでも安定的に利益は出ています。
売上がほぼ同規模のSUBARU(2.8兆円)やマツダ(2.9兆円)と比較しても当期の粗利率はテスラ21.0%、SUBARU17.4%、マツダ21.3%と肩を並べており、歴史ある日本の自動車メーカーに劣らぬ収益力を得つつあるといえるでしょう。

これにより当期の営業利益率は6.3%のプラスに転じ、最終利益は793億円と通期決算では初の黒字を達成しました。

16年12月期17年12月期18年12月期19年12月期20年12月期
売上収益‪7,00011,75921,46124,57831,536
自動車売上収益6,3519,642
クレジット収益302360
発電・蓄電事業売上収益1811,116
売上総利益1,5992,223
(粗利率)(22.8%)(18.9%)
自動車売上総利益1,6012,209
(調整後自動車売上総利益率)(21.5%)(19.9%)
営業費用2,2673,855
研究開発費8341,378
(売上収益研究開発費比率)(11.9%)(11.7%)
販売費及び一般管理費1,4322,477
(売上収益販管費比率)(20.5%)(21.1%)
営業利益-667-1,632
(売上収益営業利益率)(-9.5%)(-13.9%)
親会社所有者帰属当期利益-675-1,962

20年の生産台数を調べると高級セダンの「Model S」および高級SUVの「Model X」は合わせて5.5万台で前年より12.9%減少しています。前者は12年、後者は15年に発売されたモデルで21年に新型を投入するため生産が抑制されていることが減少の要因です。
一方で17年発売の「Model 3」と20年発売の「Model Y」は合わせて45.5万台と大きく増加。
20年の第二四半期は新型コロナの影響で工場が停止していたにもかかわらず年間の総生産台数は約51万台と前期から39.6%も増えた。

同社は米・カリフォルニア州と中国・上海の2か所に製造工場があり、モデル「S」と「Y」で95万台(計105万台)の生産能力を有しています。

さらに米・テキサス州と独・ベルリンには新たに「ギガファクトリー」を建設中です。

営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローでは営業利益の3倍にもなる6537億円のキャッシュが流入。
これは資金流出を伴わない減価償却費が2554億円差し戻されたこと、さらに買入債務の回転期間が長期化したことで2312億円の資金が流入したことが要因です。

一方、投資キャッシュフローは有形固定資産への投資を主因に3445億円の流出となりました。
先述したとおりテスラは今後、大規模工場建設を予定しており、時期以降の投資CFは5000~6500億円の支出に拡大する見込みです。

フリーキャッシュフローは3092億円のプラス。さらに財務キャッシュフローでは1.1兆円ものしきんが流入しています。内訳を見ると冬季は新規株式発行により1.4兆円を調達しています。
同社の株価は20年初めの85ドルから年末の705ドルまでわずか1年で8倍以上も上昇。
この株高を利用して時価発行増資を実施したのです。

時価増資発行とは株式の発行価格を市場価格と同等に設定して行う増資のこと。時価が高くなるほど少ない発行株式数で多額の資金を調達できるメリットがある。

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