東京エレクトロンは1963年にVTR(ビデオテープレコーダー)やカーラジオなどの電子機器の輸出入を行う商社として設立された。
その後半導体製造装置事業に進出し、2020年現在では米アプライドマテリアルズ、オランダASML、米ラムリサーチに次ぐ世界第4位の半導体製造装置メーカーとして知られている。
半導体市況に大きく影響される
東京エレクトロンは2002年3月期と2010年3月機の2期において営業赤字を記録しています。
2002年はITバブルが崩壊した時期に、2010年はリーマンショック後の経済危機の時期に相当。
いずれも半導体需要が落ち込む中で半導体の供給能力が過剰になった時期であり、このような状況では半導体製造装置メーカーの売り上げは大きく落ち込む。
東京エレクトロンの対応
東京エレクトロンは「フィールドソリューション事業」を強化することで対応しようとしています。
フィールドソリューション事業とは販売した製造装置の改造や中古装置の販売、パーツの交換やサービスの提供などを行う、アフターマーケットビジネスです。
2016年3月期には1850億円だった売上が2021年3月期には3620億円と2倍弱の規模にまで成長していることがわかります。
半導体製造装置の販売は半導体メーカーの設備投資に連動するため一度半導体不況に陥ると大きく売上高を落とすことになります。一方、パーツの交換やサービスの売り上げはこれまでに販売した装置数との連動性が高いため、比較的安定した収益を見込むことができる。
21年3月期(2020年4月1日~2021年3月31日)
流動資産1兆160億円のうち商品及び製品が2700億円と最大の金額を占めている。
この商品及び製品に仕掛品と原材料及び貯蔵品を加えた棚卸資産の金額は4150億円。
棚卸資産の金額が大きくなっているのは売上高を計上するタイミングを設置完了基準を採用していることが影響していると推測される。
有形固定資産は1970億円計上されており、半導体製造装置を生産している工場の建物、機械、土地などを保有しているため。
また、投資その他の資産が1960億円計上されていますが、その大半は投資有価証券(1050億円)。
借入金や社債などの有利子負債は計上されておらず、無借金経営。
純資産は1兆250億円で自己資本比率は72%。
売上高が1兆3990億円であるのに対し、売上原価が8340億円(原価率60%)、販管費が2440億円(販管費率17%)。営業利益は3210億円で売上高営業利益率は23%と非常に高いです。
販管費には研究開発費1370億円が計上されている。
22年3月期(2021年4月1日~2022年3月31日)
23年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)
業績
(百万円) | 売上高 | 純利益 | 営業利益 | 純利益率 | 営業利益率 | 自己資本比率 |
2016 | 663,948 | 77,891 | 116,788 | 11.73 | 17.59 | |
2017 | 799,719 | 115,208 | 155,697 | 14.41 | 19.47 | |
2018 | 1,130,728 | 204,371 | 281,172 | 18.07 | 24.87 | |
2019 | 1,278,240 | 248,228 | 310,571 | 19.42 | 24.30 | |
2020 | 1,127,286 | 185,206 | 237,292 | 16.43 | 21.05 | 64.1 |
2021 | 1,399,102 | 242,941 | 320,685 | 17.36 | 22.92 | 71.1 |
2022 | 2,003,805 | 437,076 | 599,271 | 21.81 | 29.91 | 70.5 |