ITやエネルギー(電力関連)、インダストリー(産業・流通。環境)、モビリティ(ビルシステム・鉄道)などインフラに関連する幅広い事業を国内外で展開している。
同社は当期(2021年3月期)、過去最高となる5016億円の最終利益を達成したが売上収益、営業利益ともに前期比マイナス。営業利益率も5.7%と悪化しています。
その要因はセグメント情報を見ると分かります。
まず+0、エネルギー事業の営業利益は過去3年連続で悪化。当期は477億円の赤字に転落しました。
また子会社の日立建機と日立金属も前期から2桁減収。特に日立金属は49億円のあかじと業績が芳しくありません。
一方、唯一の増益となったのがIT事業です。各事業の売上収益の構成比をみると家電事業などを含むライフ(24%)、モビリティ(13%)と続いています。ところが営業利益の構成比をみるとIT(53%)がライフ(23%)を大きく上回り、全体の半分以上を占めています。
IT以外の事業は前期比マイナスとなったにもかかわらず、なぜ最終利益は大幅増益となったのでしょう。
その秘密は「その他の損益」にあります。
日立は当期、かつて子会社だった日立化成及び画像診断関連事業の売却益を「その他の収益」に4761億円計上。さらに南アフリカのプロジェクト関連で5706億円の損失を計上した前期から
21年12月期
日立製作所と米GEとの合弁会社の日立GEニュークリア・エナジーはカナダの電力会社から次世代型の小型軽水炉を受注した。
日系企業が商用の小型原子炉を受注したのは初めてで28年完成を目指している。
22年12月期
22年は日立にとって大きな節目の年だった。
10年以上費やしてきた再編に区切りがついた。
09年時点で22社もあった上場子会社は0になった。
今後は16年に掲げた「ルマーダ」(データを活用して企業のDXを支援するサービスの総称)を進めていく。
21年に買収した米IT企業「グローバルロジック」を軸にグローバルでルマーダ事業を広げていく。
日立電線 | 13年7月 | 日立金属が吸収合併 |
日立マクセル | 10年4月 14年3月 | 完全子会社化 再上場で連結外 |
日立キャピタル | 16年10月 21年4月 | 三菱UFJFGに一部売却 三菱UFJリースと経営統合 |
日立工機 | 17年3月 | 米KKRに売却 |
日立国際電気 | 17年12月 | KKRに売却 |
日立化成 | 20年4月 | 昭和電工に売却 |
日立ハイテク | 20年5月 | 完全子会社化 |
日立建機 | 22年8月 | 伊藤忠商事と日本産業パートナーズに一部売却 |
日立金属 | 22年10月 | 米ペインキャピタルなどによるTOB成立、全株売却へ |
日立物流 | 16年5月 22年11月 | SGHDに一部売却 KKRによるTOB成立。保有株売却 |
業績
売上高 | 純利益 | 営業利益 | 純利益率 | 営業利益率 | 自己資本比率 | |
2017 | 9,162,260 | 231,261 | 587,309 | 2.52 | 6.41 | 30.7 |
2018 | 9,368,610 | 362,988 | 714,630 | 3.87 | 7.63 | 32.4 |
2019 | 9,480,619 | 222,546 | 754,976 | 2.35 | 7.96 | 33.9 |
2020 | 8,767,263 | 87,596 | 661,883 | 1.00 | 7.55 | 31.8 |
2021 | 8,729,196 | 501,613 | 495,180 | 5.75 | 5.67 | 29.7 |
2022 | 10,264,602 | 583,470 | 738,236 | 5.68 | 7.19 | 31.3 |